No.17
名古屋国際女子マラソン
優勝を目標に
 私は数え切れないほどのレースに出ていますが、その中でも印象強いレースは優勝した1994年の名古屋国際女子マラソンです。フルマラソン33回目のレース、アジア大会などでマラソン優勝の経験もありましたが、国内の主要3大マラソンでの優勝はなかったので、一度は勝ちたい、と優勝を目標に挑んだレースでした。
冷静なレース運び・目標通りの優勝
画像1 3月13日の大会当日、天候は風が多少きつい晴れ。でも強い風のせいで空が澄んでいて、その空を見上げた時、今までになく穏やかな気持ちでした。スタートしてからも、集団の中の他の選手の仕草がよく見え、自分でも不思議なくらい冷静にレースを分析していました。コース沿道で見ていた佐々木監督の言葉、自信を持ってしかけた39kmのスパート、色々なことをきちんと捉えることができました。本当に思い通りのレースができ、狙い通りに勝てたレースでした。
優勝の思い出と特別な日
 よくゴールテープを切った瞬間、指導者と抱き合って喜ぶ選手の姿を目にしますが、私もその光景に憧れていました。でも残念ながら佐々木監督は沿道で応援していて、ゴールに間に合わず、抱き合うどころか、私のゴールも見られずに終わってしまいました。ゴール後は、取材やドーピング検査や表彰式やらでバタバタと過ぎ、佐々木監督と会ったのは、興奮も冷め、観客もいなくなった頃。交わす言葉もたいした内容ではなかったですね。あれほど勝ちたかったにも関わらず、終わった後は意外とあっけなかった気がします。時が経った今、あのレースを思い出しても、一番印象に残っているのはスタート前の空の青さ――レース中のどの場面よりも鮮やかに記憶に残っています。
 喜びに湧いた大会直後、佐々木監督は病気を患い、翌年の奇しくも優勝した日と同じ日に亡くなりました。あれから3月13日は、私にとって一年の中で一番特別な日になりました。
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