No.5
東京マラソン
常識を覆されたマラソン
 ソウル五輪翌年の1989年、私はボストンマラソンに出場しました。それまでも海外マラソンにも何度か参加したことはありましたが、ボストンのような歴史があり大きな大会は初めてでした。日本国内でのマラソン大会はトップアスリートと市民ランナーが出る大会は別で、アスリートは男女別、しかも標準記録があるため、参加者もせいぜい数百人と少なく、大きな通りを占領して走るのが常でした。それが当たり前だった私にとって、ボストンは大きな衝撃でした。
応援も参加のお祭り
 何万人ものランナーが参加する、しかも世界のトップアスリートから老若男女の市民ランナーが同じ大会を走る――アスリートは真剣に走っている傍ら、市民ランナーは楽しんで走っている。もっとびっくりしたのは、ワンウェイの沿道の中、切れることのない大観衆が、うるさいくらい熱狂的に応援してくれ、町全体がマラソン大会でお祭りのように盛り上がっているのを感じました。それは私にとってもの凄く新鮮であり、衝撃でもありました。ボストンのような大会には、なかなか出る機会がなかったですが、1998年に走ったニューヨークマラソンも凄かったですね。ニューヨークらしく多くの国の人が参加していて、応援する人も多国籍で、応援もさながら国別対抗戦のようでした。こんな楽しい大会が日本であれば良いのに・・・長年、願ってました。
念願の東京マラソン!
 念願叶い3年前にやっと東京マラソンが開催!!東京の名所を巡るコースで、私も嬉しい気持ちいっぱいで走りました。第1回は雨にも関わらず3万人のランナーが楽しんで走り、沿道の応援も多く、国内で今までにない大会の盛り上がりだったと思います。ただ残念だったのは、ろくに練習もせず参加する「にわかランナー」も少なくなかったこと。
そして、大きな盛り上がりの裏側で、雨避けのビニール合羽をコース上に考えずに捨て、それを踏んだ後続ランナーが滑って怪我をしたり、給水所のパンやバナナは一口だけ食べて捨てられ、踏まれてグチャグチャになっていたり・・・マナーの悪さに複雑な思いでした。聞いた話ですがスタート地点に雨避けの傘が6,000本くらい捨てられていて処理に困ったらしいです。
2010年の大会と今後
 4回目の今年も第1回と同じような雨。でも今回は、多くのランナーがビニール合羽は沿道の係員に渡していたし、食べ物を捨てる行為も減っていた気がします。そして何よりも、声援を送るだけから飴などの食べ物を用意してくれたり、踊りや太鼓、歌などで大会を盛り上げる、大会参加型の応援をしてくれる沿道の人達が年々、増えて来ました。ランナーだけでなく、応援やボランティアの人も含め、みんなで盛り上げていく大会に、徐々に変わってきている気がします。これからどう進化していくのか――参加の抽選などを含め、まだまだ課題の多い東京マラソンですが、多くの人に慕われる、よい大会になっていってほしいですね。
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